AMBACという幻


果たして、「脚なんて飾り」なのでしょうか?
AMBAC(アンバック、Active Mass Balance Auto Control = 能動的質量移動による自動姿勢制御)といえば、
ご存知ガンダム界では有名な、モビルスーツが手足を持っている根拠となる架空の理論。
このブログでは第一回でも取り上げましたが…^^;
初出は、1981年にみのり書房から刊行されたムック、
月刊『OUT』増刊「ガンダムセンチュリー」でのスタジオぬえによるSF的解説(?)だと思います。
そのとき説明に使われてたのが、こんな図

まあ、この内容は、多分にコジツケで、明らかにスタジオぬえさん一流のジョークだったわけですが…
ハナシによると、学者さんが真面目に研究に取り組んで、
無重力下での姿勢制御で、効果がないわけではないということが分かった…
らしい…(「計測と制御」 2004年1月号。興味のある方は図書館などで閲覧してみてください。^^/)
具体的には、マニピュレータを動かして本体の姿勢を変え、
後にマニピュレータを元に戻しても、本体の姿勢は全くの元の状態には戻らない…ということらしいのですが…
しかしながら、最終的な結論としては、実際の運用では効率が悪いし時間がかかるので、
潔くスラスターを使え…ということらしいです…
簡単に言えば、回転椅子の上に立ち上がって、腕を振り回して後ろを向こうとするより、
下に降りて回れ右をした方が速いしエネルギー効率も良いと…^^;ソリャソウダ
確かに、戦闘中のモビルスーツでは、AMBACは部分的にしか使えません。
といいますか、逆に敵機に自機の武装を向けようとして腕を動かせば、その反動で自機が反対の方向を向いてしまいます。コレを防ぐためには、反動を打ち消すようにスラスターを吹かさなければなりません。
AMBACが在るから、スラスターが要らないとか、推進剤が少なくて済むなどというのは、まさに幻想でしょう。
結局のところAMBACは、宇宙機に手足が生えてる根拠としては、あまり説得力はないようです。
しかし、実際にスペースシャトルにもマニピュレータが付いていますし(その名もロボットアーム)、
ISS(国際宇宙ステーション)にも当然マニピュレータが装備されています。
つまり、
手足が生えてる宇宙機は既に存在してると言って良いと思います。
今や、もう、宇宙機に手足が生えてる根拠を捜す必要などないのですよ。
生えているのが当たり前なんですから。^^/
スペースシャトルのカーゴベイから重量物をロボットアームを使って取り出すときには、
当然その反動が船体にかかってきます。
通常は大きな反動を起こさないようにゆっくり動かすか、
それを相殺するために、スラスターを使うことになると思いますが、
その反動を利用してシャトルの軌道を変えるなんてことをすれば、コレはもう立派なAMBACです。
さて、モビルスーツにとってのAMBACですが…、
ガンダムフアンの私としては、荒唐無稽だと切り捨てるのはとてもサビシイので、少し真面目に考えてみたいと思います。
やはり攻撃動作では逆向きに作用してしまうので、ほとんど使えません。
殴る、蹴る、切る、照準を付ける…どの動作にも四肢を正確に動かす必要があるので、
四肢を動かした反動を打ち消すために、スラスターを正確に吹かす必要があります。
つまりは逆AMBAC状態ですね。
ANTI-AMBAC…でしょうか…^^;


では、全く使い物にならないかというと、そんなことはなくて、
攻撃動作以外の他の場面ではかなり有効なのではないかと思います。
このブログ、第一回(リンク)の記述も単なるジョークではありますが、機動自体は意外に真面目に描画しています。
ただ、AMBACだけでは、回避運動には明らかに不十分なので、
本来は、スラスターによる機動をさらに助けるという形で使う…と、そういう状態になるはずです。
どういうことかと言うと、こんな感じ。





ちなみに…

腕や脚の重量を残すように動かして機動することにより、機体全体を同時に動かすより速く胴体部を動かせるのです。
そして残す角度が限界に来たタイミングで、脚部のスラスターに点火することで、さらに加速がかけられる。
腕や脚の重量を動かす事で機動するのではなく、
胴体をスラスターで機動させ、その動きを出来るだけ速くする最適のタイミングで手足を動かす。
受動的な、使い方で生きてくると思います。
ということで、Active ではなく Passive であれば、かなり使えるのではないかと…
AMBACならぬPMBACですね。^^/
コレを効果的に作用させるためには、
足裏のスラスターはランドセルのメインロケット並の大出力のものをしつらえたいですね。
このことを踏まえると、
ガンダムファンの間でもよく聞かれる、
「AMBACを駆使した機動は、アニメ本編、枝編、外伝でも描写された事がない」
という意見は誤解であることが分かります。

ガンダムが前進する方向にスラストをかける時に前のめりになる事とか、

横にスラストをかけるときに脚が残るように斜めになることとかは、
完璧にAMBACが作用している表現だと思いますよ。
というわけで、モビルスーツの手脚は、機動戦闘の重要なファクターを背負っていたんです!
「脚なんて飾り」ではなかったのですよ!^^/






久々に登場の「キモオタ」アムロ君
セリフ、間違ってますよ。^^;
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モード切替

ゲーム等でモビルスーツを動かしていると、
色々気になることがでてきたりする…
多くのゲームでは、当たり前のように扱われているますが…
アニメ本編では、ほとんど語られてはいないこと…
ソレは…操縦法。
その中でも…

地上での操縦法と

宇宙でのソレは、
少し違う…
地上では、
ジャンプも出来る二足歩行戦車。

宇宙では、
手足の生えてる宇宙船。

簡単に言っても、
ロール、ピッチングの2軸と上下への移動の3種類の姿勢制御を余分に行わなければいけません。
また、その全てが、地面を蹴って行うのと、スラスター+AMBACで行うのでは、
そのレスポンスが全く異なってくるのではないかと…
当然、入力に対する出力のシステムには
地上モードと宇宙モードで大きく違いがある…はず。
状況に合わせてモードを切り替えなければ
戦闘どころか移動もままならない。

大気圏内だが宇宙モードで戦う二人。
時にはこんなことも…










ドレンさんの艦隊が全滅してるウラで
こんなことが
あったとかなかったとか…
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踊る赤い彗星

この方、かの有名な
「赤い彗星」こと
シャア・アズナブル少佐。
今でこそ、彼の赤いザクは、チューンアップバージョンだから3倍速いということになっていますが…、
本来は少佐の“ウデ”で3倍速いということになっておりました。

つまりは、他の量産型との違いはツノと色だけのはずなのです。
私は、こっちの方が、よりカッコイイので、こちらを今でも信じております。
しかし3倍速いということは3倍(27倍?)早く推進剤を消費するということで…、
通常の3分の1(27分の1)の時間しか作戦行動がとれないということになるのですが…。

イヤイヤ、われらが赤い彗星にそんな弱点があろうはずがございません

では、イカにして
3倍速を実現していたのでしょうか?

それは当然…

かのスタジオぬえが発案したAMBACをフルに活用して…

推進剤を

節約したに

違いありません。

こうして赤い彗星伝説が作られていった…

かも知れない
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